1970年代のコンピュータはインターネットもオンラインシステムもありませんでした。
当然PCなんてありません。
その時代にコンピューターの活用と言えば大きく2つに分かれていたように思います。
一つは数値計算への応用です。
天文学的な計算であったり、技術計算の分野で活躍していたと思います。
もう一つは大量の事務処理です。
企業が導入した理由は現在でもそうですが、月次決算を早く行い、経営指標を早く出せることが重要な事だったと思います。
企業としては、当然のことながら重要な要素の売上、仕入、在庫、経費の情報を把握しなければ損益数値は出てきません。
当時は売上伝票をコンピューター部署に持ち込み、ひたすら売上伝票を元にキーパンチ入力を行っていました。
私が居た企業ではIBMのコンピューターでしたので、入力は80欄(128欄もあった)カードを使用して入力します。
売上伝票1枚に対してカード1枚に収まるように設計するのですが、情報が多い場合は伝票1枚に対して複数枚のカードになるときもあります。
現在では信じがたいと思いますが、穿孔パンチ入力ですので、入力ミスをしてしまうと、カードは破棄となります。
当時は正確に早く入力できる事が上級者として扱われました。
一時的ですが、キーパンチ技術者が女性のあこがれの職種の時代もあったのです。
キーパンチされたカードはカードリーダー(カード読み取り装置)から1枚づつ読み取られて、設計された売上データとして保管されます。
我々システム開発者もシステムを設計しプログラミングを行う時はこのカード穿孔機を使用してプログラムのソースレコードを作成します。
1枚が1ステートメントに当たります。
1プログラムが200行(ステートメント)で構成されている場合は200枚のカード入力を行うわけです。
入力ミスが多いとゴミ箱は不要なカードの山積みになります。
また、1機能のプログラミングを輪ゴムで束ねるのですが、順番に並べてマジックで耳の部分に線を引きます。もし、ばらけてしまった場合に線を頼りに並べ替えるためです。
カードを床に落としてしまい、並べ替えるのに時間がかかった経験もありましたし、機械メーカーはその対処としてカード番号でソートし並び替えてくれる機器まで発売したほどでした。
今はPC画面からExcelだWordの入力は自由気まま、間違ってもすぐに修正できます。
当時はミスをすると経費に直結する時代だったのです。